MoodleやCanvasは中国でも使えるのか?2021年の中国におけるLMSの完全ガイド

MoodleやCanvasは中国でも使えるのか?2021年の中国におけるLMSの完全ガイド

中国は、間違いなく最大の留学生供給国です。しかし、すべての学習管理システム(LMS:Learning Management System)が中国で思うように機能しているわけではなく、次のような疑問が生じています。なぜ中国ではLMSがうまく機能しないのか、そしてさらに重要なことは、教育者はどのようにすれば中国に適した学習体験を容易に作り出すことができるのか、ということです。

これらの質問に答えるためには、まず下記を理解することが重要です。

  1. 学習管理システム(LMS)とは何ですか?
  2. Moodleは中国で使えますか?
  3. Canvasは中国で使えますか?
  4. Blackboardは中国で使えますか?
  5. なぜ中国ではLMSが使えないのですか?
  6. 中国でLMSを利用する際のベストプラクティス
  7. ChinaSPEEDの導入

学習管理システム(LMS)とは何ですか?

LMS(Learning Management System)とは、教育リソースやトレーニングプログラムを管理、文書化、自動化、配信するためのプラットフォームです。

代表的なLMSとしては、Moodle、Canvas、Blackboardなどが挙げられます。

Source: SoftwareSuggest

パンデミック以前から大学ではこれらのプラットフォームを広く利用していましたが、教育現場では、この時期に遠隔教育を継続するための唯一の手段として、これらのプラットフォームへの依存度を高めなければなりませんでした。

多くの人にとって、かつては「あったらいいな」と思っていたデジタル学習ツールは、すぐに必要なものとなりました。

世界中のいくつかの大学では、この秋から完全に対面授業に戻ることを計画していますが、LMSプラットフォームの普及は確実に続いています。

カリキュラム全体をオンライン化するために投資している学校もあります。極端な話だと思われるかもしれませんが、学部の遠隔教育コースに登録する学生の数は増加の一途をたどっています。この判断は、本当に極端なものなのでしょうか?

UCLやカリフォルニア大学バークレー校をはじめとする大多数の大学は、以下のようなバランスのとれた一連のオンライン学習体験を提供する予定です。

i) 対面式の学習
ii)完全なオンラインでの体験
iii) 上記2つの中間的なもの

このような状況の中で、多くの大学は、パンデミックのせいで、残念ながら、すべての学生が同じようにオンライン学習を経験しているわけではありません。

特に、中国本土の学生や教師に関しては、その傾向が強いのです。

Moodleは中国で使えますか?

Moodleは、オンライン学習のためのオープンソースのコース管理プラットフォームです。100以上の言語に対応しており、UCLやHKUなどのグローバルな大学で採用されています。日本では、上智大学や日本大学などが採用しているようです。

しかし、中国ではMoodleがそのまま使えるわけではなく、学生が教材や講義にアクセスしたり、課題を提出したりするのに苦労しているようです。

Canvasは中国で使えますか?

Canvasは世界No.1のLMSであり、アイビーリーグの100%の学校で採用されているプラットフォームです。また、他大学の学生情報システムとの柔軟な連携も可能です。日本では、慶應義塾大学や一橋大学などが採用しているようです。

フロリダ州立大学の報告書によると、中国の学生はCanvasにアクセスすることができますが、IPアドレスに基づいてデータが制限されることがよくあります。残念ながら、中国での安定したアクセス手段はVPNしかありませんが、これは中国の当局から非常に嫌がられている方法です。

Blackboardは中国で使えますか?

Blackboardは、世界中の幼稚園や高等教育機関、企業、政府機関にサービスを提供しているEdTech企業です。Blackboardを利用している有名な大学には、ジョージタウン大学やCUHKがあります。日本では立教大学や日本大学で採用されているようです。

Blackboardは中国でも動作するようですが、YouTubeやVimeoなどのプラットフォームがブロックされているために教育コンテンツが表示されないなど、ページ固有の問題があり、その他のパフォーマンス上の問題と相まって、ポータルの動作が遅く、不完全なものとなっています。

なぜ中国ではLMSが使えないのですか?

理由1:ブロックされたコンテンツ
LMSのコンテンツは、YouTubeやVimeoのような動画共有プラットフォームによって強化されています。しかし、中国ではそうはいきません。

講師は、これらの動画の視聴を授業の課題として設定したり、録画した講義を共有するために利用したりします。これらのプラットフォームは、グレートファイアウォールによってブロックされているため、中国本土の学生にとって、これらの課題を完了することは不可能です。

教材を生徒と共有する際に、講師が発言権を持っていたとしても、

i) ブロックされた技術やウェブサイトは定期的に変更されるため、講師が常に監視するのは困難です。
ii)中国国内の学生には有効でも、中国国外の学生には有効ではありません。

理由2:速度と接続の悪さ
ウェブサイトのリソースやコンポーネントは、多くのドメインでホストされていることが多く、そのほとんどが中国から遠く離れた場所にあります。

前述の互換性の問題と相まって、これらのサイトは、中国から遠く離れた複数のサーバからこれらのサードパーティドメインのリソースを取得する必要があるだけでなく、中国のビジターにデジタルコンテンツを配信するすべてのサイトが直面するレイテンシーとスループットの問題にも直面します。

これらの要因を総合すると、大学のMoodleやCanvasのプラットフォームが読み込まれるまでの全体的な時間が長くなります。

グローバルなコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)を利用して学生の近くにリソースを配信したとしても、CDNは中国での配信にコードレベルまで最適化はされていません。

このような距離とネットワークの制限(その他の理由も含む)により、授業の録画、講義のスライド、課題図書などの読み込み時間が長くなってしまうのです。

なぜこれが問題なのでしょうか?
この1年間、小テストや課題、さらには期末試験などがLMSやその関連プラットフォームで行われてきました。多くの学生にとって、これらのプラットフォームの接続性の悪さは、単に読み込みが遅いことを意味するだけではありません。時には教材にアクセスできない、ダウンロードできない、アップロードできないということもあります。

このように、中国のインターネットに最適化されていないと、学生がコース全体に合格するか落第するかの分かれ目になります。

VPNはどうでしょうか?
この問題を解決するためにVPNがいい方法であると思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。

VPNは、一部の学生にとって非常に高価なものであるだけでなく、さらに重要なことに、中国政府が推奨していません。

オンライン学習が増加し、今日および近い将来もその傾向が続く中、多くの大学は、グローバルなインターネットと中国のインターネットの分岐によって引き起こされる問題に取り組むべき時期に来ていることを認識しています。

VPN以外にも、このような中国でのアクセシビリティを扱う際に、大学がすべきこと、すべきでないことがあります。詳しくは以下をご覧ください。

中国でLMSを利用する際のベストプラクティス

すべきこと

  • 中国の学生が自社のプラットフォームにアクセスできるかどうかをテストしてください。中国国内にテストできる人がいない場合は、表示スピードテストなどのツールを利用することができます。
  • タイムゾーンや学習環境の違いを考慮して、包括的でアクセシブルなコースデザインにしてください。
ChinaSPEEDの表示スピードテストでLMSをテストしてみてください。

すべきでないこと

  • コースのコンテンツにアクセスするために、学生にVPNの使用を求めてはいけません。これは学生に法的な影響を与える可能性があります。
  • 学生とのコミュニケーションにメールだけを使わないようにしましょう。GoogleのG Suiteは現在中国では使えませんのでご注意ください。
  • ブロックされる可能性のある機密性の高いコンテンツのアップロードは避けてください。

Moodle & CanvasのChinaSPEEDでの動作はどのようになりますか?
ChinaSPEEDでは、大学のWebサイトが中国で迅速かつ効率的に機能するように支援します。ネットワークからアプリケーション層までの複数のタッチポイントを最適化することで、中国本土の学生が学習管理システムをより利用しやすく、一貫性のあるものにできるよう支援します。

互換性への対応
インテリジェントなルールベースの推奨事項を使用して、ChinaSPEEDのプラットフォームは、MoodleまたはCanvasポータル全体でブロックされたコンテンツを検出し、可能な場合はそのコンテンツを削除して、ChinaSPEEDが作成したサイトのバージョンでは中国に適した代替に置き換えます。

過去には、ChinaSPEEDがWycombe AbbeyのウェブサイトのアクセスできなかったYouTubeの動画を最適化しました。

例えば、講義として設定されたYouTubeやVimeoのリンクは検出され、適応性のあるストリーミングされたノンブランドのビデオプレーヤーに置き換えられ、ChinaSPEEDの加速されたインフラを使用して配信されます。最適化プロセスの後、中国のポータルにアクセスした学生は、意図した通りにコンテンツにアクセスすることができます。

スピードとインタラクティブ性の向上
互換性のためにリソースを最適化し、マルチCDNを活用することで、ChinaSPEEDの技術は中国の学生のLMS体験を大幅に改善することができます。負荷分散されたインフラでは、速度だけでなく、CDNでは対応できない互換性においても、中国近郊の他のCDNを常に上回ります。

ChinaSPEEDのCDNと他のプロバイダーの比較(Chinafy=ChinaSPEEDです)

是非、実際にテストをしたデータを確認してみてください
私たちは、国際的に有名な大学の学習管理システムを使って技術テストをしました。以下は、これらの大学のLMSに中国からアクセスした際の負荷を比較したものです。

Moodle: University College London (UCL)

例えば、ロンドンを代表する学際的な大学であるUCLを考えてみましょう。

UCLのMoodleポータルは、中国のインターネットに十分に最適化されていないため、北京からの読み込みは、ロンドンからの読み込みに比べて5倍以上遅くなります。

中国と英国におけるパフォーマンス

スピードを測定するには、ウェブサイトの読み込みプロセスの異なるポイントを示すさまざまな指標を使用することができます。この例では、以下の点を見てみましょう。

i) First Contentful Paint time:最初のテキストや画像が読み込まれるまでの時間を計測します。
ii) Time to Interactive (TTI) : ページが完全にインタラクティブになるまでの時間を測定します。

First Contentful Paint timeの比較

中国(北京)から:UCLのMoodleは、北京からの読み込みで、First Contentful Paint timeに30秒以上かかっています。

中国国外から(ロンドン):同じLMSのロンドンからの読み込みでは、First Contentful Paint timeはわずか2.3秒です。

Time to Interactiveの比較

ロンドンからは、UCLのMoodleがインタラクティブになるまでの時間は4.6秒です。つまり、英国ではUCLのMoodleが完全にインタラクティブになるまでの時間に、中国では最初のテキストや画像が読み込まれていないことを意味します。

では、Canvasはどうでしょうか?

同様に、Canvasサイトのパフォーマンスは、中国国内では中国国外よりも遅くなります。フォント、ビデオ、画像など、サイト全体で重要な要素が欠けています。

Canvas: University of California、ロサンゼルス

中国と米国でのパフォーマンス比較

広州(TTI):7.8s、一部リソースの欠落あり

カリフォルニア(TTI):3.3秒

ChinaSPEEDの導入

ChinaSPEEDのサービスを利用すれば、スピードを落とすことなく、学習に必要な動画などの情報を正しく表示させ、中国からのLMS使用のストレスを取り除くことが可能です。ご興味がありましたら、弊社までぜひご連絡ください。

中国向け配信最適化サービス

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